日頃からスポーツを楽しんだり、健康維持のためにトレーニングに励んだりしている方の中で、食事の管理に迷いを感じている方はいらっしゃいませんか。
「運動しているのに思うように体が絞れない」「トレーニングの後半でバテてしまう」といった悩みは、実はエネルギー収支のバランスが崩れていることから生じている可能性があります。
体を動かす人にとって、食事は単なる栄養補給ではなく、トレーニングの一部と言っても過言ではありません。
この記事では、運動パフォーマンスを支えるための「摂取カロリー」と「消費カロリー」の正しい関係性と、具体的な食事の考え方について解説します。
※効果には個人差があります。必要に応じて専門機関に相談してください。
運動と食事の基本となるエネルギー代謝の仕組み
トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、まず私たちの体がどのようにエネルギーを使っているかを知る必要があります。
消費カロリーというと、ランニングや筋トレで消費するエネルギーばかりに目が行きがちですが、実はそれだけではありません。
私たちが1日に消費する総エネルギー量は、大きく分けて「基礎代謝」「身体活動レベル」「食事誘発性熱産生」の3つで構成されています。
基礎代謝とは、呼吸や体温維持など、生命を維持するために最低限必要なエネルギーのことです。
これは1日の総消費カロリーの約60%を占めると言われており、筋肉量が多いアスリートやトレーニング愛好家は、一般的な人よりもこの基礎代謝が高くなる傾向にあります。
残りの約30%が運動や家事などの身体活動によるもの、そして約10%が食事を消化吸収する際に発生する熱エネルギーです。
参考:健康日本21アクション支援システム Webサイト|厚生労働省
運動をしている方が食事計画を立てる際は、トレーニングで消費した分だけでなく、この「生きるために必要なベースのエネルギー」を確保することが大前提となります。
特にハードなトレーニングをしている時期は、自覚している以上に消費カロリーが増大しているケースが少なくありません。
自分の活動量に見合ったエネルギー代謝の全体像を把握することは、怪我の予防やコンディション維持への第一歩となるでしょう。
摂取カロリーと消費カロリーの最適なバランスを見極める
ご自身の目的に合わせて、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを調整することは、体作りにおいて非常に重要です。
ここでは「体重を落としたい場合」と「パフォーマンスを上げたい場合」の2つの視点から、具体的な考え方を見ていきましょう。
減量や体脂肪減少を目指す場合
体を絞りたいと考えている場合、基本的には「消費カロリー>摂取カロリー」の状態を作る必要があります。
しかし、運動をしている方が極端な食事制限を行うと、エネルギー不足により筋肉が分解され、かえって基礎代謝が落ちてしまうリスクがあります。
減量中であっても、極端なカロリー制限は避け、トレーニングの質を保てる範囲で緩やかにアンダーカロリー(摂取不足の状態)を作ることが大切です。
健康的に体を絞るためのポイントは、次のとおりです。
- 今の摂取カロリーからマイナス200〜300kcal程度を目安に調整する
- 炭水化物を極端にカットせず、トレーニングのエネルギー源として確保する
- 空腹状態で高強度のトレーニングを行わないようにする
参考:【増量と減量の基礎知識】食事管理で効率的に筋肉を増やす方法|タニタ
筋力アップや持久力向上を目指す場合
筋肉を大きくしたい、あるいはスタミナをつけたいという場合は、「摂取カロリー≧消費カロリー」の状態を維持することが推奨されます。
消費カロリーに対して摂取カロリーがトントン、もしくはわずかに上回ることで、体はエネルギー不足の心配をせずに筋肉の合成や疲労回復にリソースを割くことができます。
特に持久系スポーツのアスリートなどは、練習量が多すぎて「食べても消費に追いつかない」という状況に陥りやすいため、意識的に食事量を増やす努力が求められます。
パフォーマンス維持のためにエネルギー不足を防ぐポイントは、次のとおりです。
- 3食の食事に加えて、補食(間食)を取り入れる
- トレーニング直後は速やかに糖質とタンパク質を補給する
- 体重の減少が見られる場合は、食事量が足りていないサインと捉える
ご自身のコンディションを確認しながら、カロリー収支をプラスマイナスゼロ、あるいはプラスに持っていく意識が、長く運動を続けるための鍵となります。
運動と食事の関係についてもっと知りたい方はこちら
カロリーの質とタイミングにも注目して食事を整える
カロリー収支のバランスが整ったら、次に見直したいのが「何をいつ食べるか」というカロリーの中身です。
同じ2,000kcalを摂取するにしても、お菓子だけで摂るのと、バランスの取れた定食で摂るのとでは、体への影響やトレーニング効果への貢献度がまったく異なります。
ここでは、運動する人が特に意識したい栄養バランスと摂取タイミングについて解説します。
PFCバランスを最適化する
健康的な体作りには、三大栄養素であるタンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のバランス、いわゆるPFCバランスを整えることが欠かせません。
運動をする人にとって、筋肉の材料となるタンパク質はもちろん重要ですが、それ以上にエネルギー源となる炭水化物の摂取がパフォーマンスを左右します。
脂質はホルモンバランスを整えるなどの役割がありますが、摂りすぎは体脂肪の増加につながるため、良質な油を選びつつ適量を心がけましょう。
運動強度や目的に応じたPFCバランスの目安については、次のとおりです。
- 炭水化物:総カロリーの50〜60%(運動量が多い日は多めに設定)
- タンパク質:体重1kgあたり1.2〜2.0gを目安に確保
- 脂質:総カロリーの20〜30%程度に抑える
食事のタイミングをトレーニングに合わせる
食事を摂るタイミングを工夫することで、摂取したカロリーを効率よくエネルギーに変え、リカバリーをサポートすることができます。
トレーニング前の食事は、開始の2〜3時間前に済ませておくのが理想的です。
消化吸収の時間を作ることで、運動中に胃腸への負担をかけずにエネルギーを利用できるようになります。
もし時間が確保できない場合は、バナナやゼリー飲料など、消化の良い糖質を中心に摂ると良いでしょう。
また、運動後の体はエネルギーが枯渇し、筋肉の修復を求めている状態です。
トレーニング終了後はできるだけ早いタイミングで食事やプロテイン摂取を行うことで、疲労回復へのアプローチが期待できます。
カロリー計算だけに縛られず、体のリズムに合わせて栄養を送り込む意識を持つことが、質の高い体作りにつながります。
まとめ
運動をする人にとって、摂取カロリーと消費カロリーのバランスは、日々のパフォーマンスや体調管理に直結する重要な要素です。
まずはご自身の基礎代謝や活動量を含めた消費カロリーを把握し、目的に応じて適切な摂取カロリーを設定することから始めましょう。
その上で、PFCバランスや食事のタイミングといった「質」の部分にも目を向けることで、トレーニングの効果をより実感できるようになるはずです。
数字の管理に神経質になりすぎず、ご自身の体の声に耳を傾けながら、楽しく健康的な食生活を実践していってください。

